アメリカ「種の保存法改正」でグリズリーの運命はいかに

トランプ政権は今年8月12日、「絶滅の危機に瀕する種の保存に関する法律」(種の保存法:ESA)に基づく主要規制を緩和することを決定しました。

同法が制定された1973年以来の抜本的な改正となりました。

「絶滅危惧種」と「絶滅の恐れのある種」に課していた同等の保護規則が撤廃され、「野生生物の保護指定のためには、経済への影響を一切考慮しない」と定めていた条文を削除しました。

人間の経済活動と気候変動からの脅威が高まる中で、危惧種を保護する「種の保存法」が骨抜きになりかねないと言われています。

環境問題(気候変動、絶滅危惧種、汚染等)のニュースサイトThe Revelatorで、トム・モランフィー氏の、7月8日「ノースカスケードへのグリズリーの野生復帰:政治情勢の問題」という記事に以下のように記しています。

グリズリー種の復旧は、過去30年間であまり前進していません。

生物学者は10頭未満のグリズリーがこの地域(ノースカスケード国立公園付近)を歩き回っているだけで、「生物学的に回復し、遺伝的に健康な集団を構成しうる最低単位200頭」のほんの一部しかいないと推定しています。

しかしながら、グリズリーの個体数を増やす努力は、ためらうような方法ではありますが継続しています。

長年の開発の後、2017年のパブリックコメント期間中に、ノースカスケードにさらにグリズリーを持ち込む計画が開始されました。

計画では、野生復帰は次の4つの形式のいずれかになります。

①特別の行動をとらない

②生態系評価の復元(2年間のグリズリー捕獲、移送、およびノースカスケード複合地域に解き放つ)

③漸増式復元(よりゆっくりと、より多くのグリズリーをエリアに移送する)

④迅速な復元(毎年200匹のグリズリー目標に達するまで、夏と秋に個体数を回復する)

パプブリックコメント期間は予定より早く終了しましたが、最近再開され2019年10月に提出予定です。

この計画の近未来はどうなりますか?

ノースカスケード国立公園の自然および文化資源の責任者であるジャック・エルフケ氏は、連邦政府の種の保存法改正の解釈について話すとき、正当な理由で慎重に見える。

法律の実施方法に対する2つの変更により、野生復帰の取り組みが複雑になる可能性があります。 エルフケ氏は、政治的な落とし穴に陥る可能性があるにかかわらず、グリズリーが多様な捕食範囲(雑食性)を有し、適応力があるために、ノースカスケードのグリズリーの将来について強気だと言います。

(The Revelators)
(写真AC)

グリズリーの学名はUrsus arctos horribilis、灰色熊(ハイイログマ)のことで絶滅が危惧される種です。

北アメリカに生息するヒグマの個体群で、過去にイエローストーン国立公園で508kgの個体が捕獲されています。

海岸近くのグリズリーは大きく、内陸に住むグリズリーはやや小さいという傾向があります。

記事で野生復帰を試みるノースカスケードは、アメリカ合衆国ワシントン州の北端(シアトルの北約200km)でカナダ国境付近の山岳地帯です。 自然環境におけるグリズリーの好影響について、同記事に以下のように記されています。

連邦政府はグリズリーに値札を付けようとしているように見えますが、実際にはグリズリーの経済的価値は、クマたちが提供する生態系サービスのために、値札をつけられないほど高価格か青天井の間にあります。

たとえば、動物が森の中を歩き回るときにグリズリーの糞(種)を撒き散らします。これは、シャケの豊富な栄養素で大地を肥やすのにも役立ちます。 グレイシャー国立公園の未開地で10年間働いていたジャック・エルフケ氏は、グリズリーの影響を常に見ていました。

亜熱帯草原を回転する庭のように地面をかき回し、生態系に非常に良い影響を与えます。

(therevelator.org)

https://therevelator.org/grizzly-reintroduction-cascades/

2 thoughts on “アメリカ「種の保存法改正」でグリズリーの運命はいかに

  1. ヒグマ(グリズリーはヒグマの一亜種)に殺された(食べられた)冒険家、星野道夫さんのことが思い返されました。子ども向けにも、素晴らしい写真と文章から成る本をつくってくれるひとでした。
    しかし、そんなふうにある時には人間の脅威となる動物であっても、ぜったいに絶滅させてはダメ、それは 人類の恥 といえます。「生態系への好影響」があるらしいですし、もしそんなものがなくとも、やっぱり ダメなものはダメ と思います。
    トランプさんには浅はかなところがあり過ぎる、かれが大統領にまでなってしまったというのは、
    地球の悲劇 といったら言い過ぎでしょうか。

  2. クマといえば、テディベア、くまのプーさん、定山渓熊牧場や動物園のクマから愛らしい優しい動物と決めつけてしまいそうですが、野生のクマは星野さんを惨殺したように、どう猛な一面を持っていますね。
    定山渓熊牧場のクマは人間のように二本足で立ち、ビスケットをねだります。ユーモアのセンスもあります。餌不足で下界に降りてきて、作物を荒らしたり人家に入ったり人間に脅威を与え始めたからといった人間の視点によって絶滅させてはならないですね。

コメントを残す

あなたのメールアドレスは公開されません。必須項目には印がついています *

CAPTCHA