好き嫌いがはっきり分かれるハワイアンピザ

韓国の東亜サイエンスのウェブサイトで、精神健康医学専門医・神経人類学者のパク・ハンソン氏が、10月18日、アイスランドの大統領が冗談で掲げたハワイアンピザの禁止法から、生まれて初めての経験が後々にまで人生の慣習や選択に係わってくることを記事にしました。

パク・ハンソン氏は、東亜サイエンスに「私の心はなぜこうなのか」、「人類と疾病」を連載し、多くの精神健康医学関連翻訳書を出版しています。

Hawaiian Pizza

著者が語る「人間社会で最も明白な文化的刻印はまさに食べ物」に間違いありません。韓国においては、唐辛子の辛さやニンニクは食べ物にはなくてはならない要素であろうし、我が国においては、味噌、醤油や納豆などの発酵食品が食卓に欠かせません。

人間行動の進化

ハワイアンピザは、どうしてなくならないのだろうか?

2017年2月、アイスランドのグズニ・ヨハンネソン大統領がハワイアンピザ禁止公約を掲げた。21歳未満の青少年の票を30%以上獲得する場合、ピザのトッピングにパイナップルを禁止するということだ。

アイスランドの世論は、直ちに二分し全世界で賛否世論が沸き起こった。結局、ハワイアンピザ禁止法は実現しなかった。国家の過度な介入に反対する世論の方が優勢だった。もちろん冗談半分で言った話で、世論も冗談半分だった。おかげでパイナップルが引き続きピザ・トッピングの座をえている。

無実のハワイ

実際、ハワイアンピザはハワイで創作されたものではない。カナダがしでかした事だ。パイナップルが育ちもしないオンタリオ州の料理人が1962年に初めて発表した。

ハワイアンピザにはハム、チーズとトマトソースが入る。ここまでは大丈夫だ。ところがいきなりパイナップルが材料として登場する。しかもハワイ州政府とは一言の相談もなく、ハワイアンピザと名付けてしまった。プライドだけで戦争をした場合、隣国に対する宣戦布告に他ならない。

驚くべきことにハワイアンピザはかなり愛されている食べ物だ。2015年、イギリスのある調査によると、ハワイアンピザはイギリス人が最も多くテイクアウトしていくピザだった。それは英国だけではない。1999年の調査によると、ハワイアンピザはオーストラリア全体のピザ売上高の15%を占めた。オーストラリア人の祖先が、英国から来たという点を考えれば、驚くに値しない。

カナダのオンタリオ州でハワイアンピザが初めて発売された理由は見当がつく。フランス人が多いケベック州なら、思いもよらなかっただろう。フォアグラ・トッピングであればまだしも・・

Ducks follow mother unconsciously

ベビーダック症候群

原稿期限に追われて、やむを得ずピザの話でコラムをごかまそうというわけではない。一体、ハワイアンピザのように好き嫌いが激しく分かれる食べ物はなぜできるのだろうか。

ピザのトッピングのパイナップルを見ながら、よだれを垂らす人がいるはずだ。そのような人達とは付き合うこともないと大言壮語を吐きながら、平然と生臭い「アンチョビ」をトッピングする人もいる。実はすべてそこにある。

ベビーダック症候群(baby duck syndrome)という概念がある。アヒルの赤ちゃんがかかる病気ではない。コンピュータ・ユーザーが最初に使用したオペレーティング・システムを好む傾向をいう。一種の経路依存性(人や組織がとる決断は、過去にその人や組織が選択した決断によって制約を受ける)であるが、心理的な影響が一役買っている。

ウィンドウズシステムを初めて使う人は、そのようなシステムに適した多様なアプリケーションに慣れてくる。それとともにますます情がわいてくる。飼いならされてしまうのである。

そんなわけで、スティーブ・ジョブズ氏がツルツルのマックブックを発売しても、デル・コンピュータマニアらの反応は芳しくなかったのだ。真っ黒なデルのコンピュータの方がいいのにどうしろというのか。一種の刻印現象(生物が生まれて間もない期間に、初めて見た生き物についていく等の現象で、餌をもらえるなどの欲求や学んだ経験から起こす行動ではない)に違いない。(中略)

ハワイアンピザが好きな方のために

人間もそうだ。コンピュータのオペレーティングシステム(OS)さえも、子供の頃に使ったシステムになぜか愛着が行くのが人間だ。マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏が慈善事業家だからといって、学生用のオフィス(ワード、エクセル、プレゼンテーションツール等のソフトウェア・パッケージ)を安値でばらまくわけではない。事実しばらくウィンドウの最も強力な競争相手はMS/DOSであった。

今なぜかDOS画面に愛着を感じ、アタリ社(ブロックくずし等を開発、発売したアメリカのビデオゲーム会社)のゲームをしながら、胸の痛む思い出を感じる中高年が多い。ベビーダック症候群、つまり刻印づけである。

人間社会で最も明白な文化的刻印はまさに食べ物だ。韓国人の遺伝子が格別で、キムチが好きで味噌チゲを楽しむのではない。韓国人の80%が7番染色体にキムチを好む遺伝子を保有という式の研究が発表される可能性はない。

子供の頃に食べた食べ物は、個体に与えられた社会生態学的環境で長年立証された最適の食べ物である可能性が高い。その食品の材料コストも、構成栄養素も、郷土の気候で腐敗していく状況であれ。子供の頃に味わった食べ物に強い愛着を感じるのは、明らかに適応的な戦略である。

ハワイアンピザを好きな人は多い。大統領もパイナップルのピザトッピング禁止を云々する恐ろしい世の中だから、きっと自分の声を出さずに息を殺しているのだろうが、売上高は正直である。

おそらく今日もある中年男性が近所のピザ店で周りの顔色をうかがいながら、こっそり注文するだろう。「そのハワイアンピザというのを一つください」、「何が入ってるのかよく分からないですけどね。まさかパイナップルを入れるんじゃないですよね?ハハハ、私はそういうものをトッピングする無茶苦茶な部類ではありませんから」、「あ、ちょっと待って! パイナップルを除いてくれと言うんじゃないよ。ただ元のレシピ通り。もう少し入れてもいいですよ。少し何か、2本くらい?ハハハ、まあ、たまには嫌いな食べ物に挑戦する必要もあるから」

ひょっとして誤解があるかもしれないが、これは私の話じゃないですよ。非対面注文アプリがあって本当に良かった。

(dongascience.donga.com) http://dongascience.donga.com/news.php?idx=40696

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