アメリカの新しい洪水対策

2015年12月30日米ミズーリ州 15人の死亡者を出した大洪水

環境問題(気候変動、絶滅危惧種、汚染等)のニュースサイトであるRevelatorの副編集長タラ・ローハン氏が、7月8日、北米が大洪水から学んだ画期的な洪水対策について記事にした。

気候変動にともなう環境の変化は激しく、たとえば、グリーンランド氷床は1980年代の6倍の速さで溶けていると報道されました(2019年1月18日https://factcheck.afp.com/no-these-two-photos-do-not-show-same-glacier-ten-years-apart)。

地球環境が指数関数的に激変している現代、災害を人工建造物で抑え込むといった概念はもはや古いということです。

川の氾濫は起こるべくして起こるので、被災地を鳥瞰予見し、氾濫原になりうる土地からの移住、移住後に創出された土地の有効活用と、よりダイナミックで余裕をもった危機管理が求められているのです。

米国は、記録的な水害に12ヶ月間耐えたばかりで、この春の氾濫によってアイオワ州、カンザス州、およびネブラスカ州で連邦の非常事態を宣言した。

数十の他の州と郡は、緊急非常事態を宣言し、今の時点で洪水は、すでに北米67人の命を奪っており、それらは資産損害において数十億ドル(日本円で数千億円)を計上し、農場が水没した農家の経済損失は数十億ドル以上の損失となった。

これら災害の話題に関連し、洪水被害は、自然からの直接被害ではなく、「氾濫原の舗装、川の支流開設、湿地の排水」によって被害を大きくしたという共通の見解があった。

しかし、変化の兆しが見えてきた。今日、より多くのコミュニティは20世紀型開発が有害であることに気がつきはじめた。

「川を川らしくふるまわせる」という新しい洪水管理の到来を告げている。  

2017年2月、北米で最も高地にあるオロビル湖ダム決壊を防ぐために、管理者がダムの水を放水した時、サクラメント川の支流、フェザー川下流が荒れ狂って大洪水を起こした。さらに、フェザー川の水路が狭くなった、かつて土手が決壊したことのある地域で別の災害が起こったかもしれない。

しかし、3本の川を管理する土手改良オーソリティは、土手の損害や決壊の危険なく、水位の高い流れが通過できるように川岸の危険個所6マイルに沿って土手を後退させるプロジェクトを2010年に完成し、しかも川岸に1500エーカー以上の土地も創出した。

非営利のカリフォルニア洪水管理保全長官のジョン・ケイン氏は、「2017年のオロビル湖ダム大事故後に、大きい洪水があったが、このエリアおよび新設の土手は無傷であった。土手を後退させることによって、川の流れに余裕を与え、洪水リスクを減らし、土手システムの一貫性を保証するシステムの毀損を妨ぐことができた」と述べた。

土手を後退させるこのアイデアは、セントラル・ヴァリー洪水保護計画の実行計画の一部分であり、最初2012年に採用されて、2017年に拡充された。

計画はいくつかの点で、草分け的なものであった。

第一に「洪水コントロール計画ではないこと」、それは「洪水危機管理計画」であった。「コントロールするものが、川や地面でないということは、意味論以上に大きな違いであった」とジョン・ケイン氏は述べた。

洪水をコントロールしようとすることと対照的に、「氾濫に関連したリスク」を管理しようとする挑戦について考えた時、使う手段を劇的に変えてしまいます。

気候変動の時代に、治水は本当に無駄な努力です。氾濫は起こるのです。

問題は、我々が資産と人々のために成り行きを制限するように、どのように我々が氾濫に関連したリスクを管理するかということです。

従来の洪水計画は、たいていインフラである土手、ダムや洪水壁の建設でした。新しい計画は、いくつかの場所(サクラメントとストックトンの都市のまわりなど)で土手の補強工事が含まれていますが、「川岸から土手をさらに後退させること」と、「氾濫原を復元すること」に焦点をあてている。

洪水の氾濫が予測される多くの地域には、団地、ショッピング・モールや主要な農地が含まれており、その解決は容易なことではない。

地主たちは、移転計画に乗り気ではないだろうから、なにか誘発的なパッケージを考え出して提供しなくてはならない。

「誘発的なパッケージ」を案出するための予算と政治的な判断が大きなハードルになる。 計画は諸々の利益や便益によって、プロジェクトに優先順位をつけます。

大洪水に備えるための出資努力の代わりに、地下水の涵養、閑地創出、レクリエーション施設、浄水環境、野生動物の住環境など様々な付随効果を提供するプロジェクト開発の手助けです。

(中略)

気候変動にともなう不測のリスクを前に、利害関係グループは、郡スタッフがリスク・アセスメントと計画に、警戒のための特別な措置を追加することを助けた。

氾濫原管理についての新しい考え方は、今日直面している重要なリスクを再評価することを可能にする。

ほんとうのリスクというのは、氾濫によって生じる2次被害~3次被害によるものです。

我々が20世紀にしようとしていたのは洪水のコントロールであったが、「それは気候変動において、完全に負け戦であった」とジョン・ケイン氏は結んだ。

(therevelator.org)

https://therevelator.org/flood-solutions/

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