福一原発 汚染処理水の海洋放出を急ぐ

The Telegraph(1855年設立の英国メディア)に、11月19日、ジュリアン・ライオール記者が、福一原発の汚染水について独立した調査を拒否する動きがあることを記事にしました。

日本政府は、太平洋に放出される予定の福島第一原子力発電所(以降、福一原発)からの汚染水について、第三者による試験を拒否したため、隠蔽で告発されている

経済産業省の職員は、環境・市民グループからの放射性物質に関する懸念にもかかわらず、損傷を受けた福一原発に貯蔵された汚染処理水を太平洋に放出するのは安全だと述べた。(中略)

原子力資料情報室(CNIC)共同ディレクターの伴英幸氏は「汚染処理水が大量なので、チェックはたくさん必要になります。現在、彼らが外部に何を隠そうとしているのか明白です。この問題については、隠さず公開してこそ双方の利益になります。もし隠し通そうとするならば、事故によって完全に失った国民の信頼をどうやって取り戻すのでしょうか」と語っている。

最近、福一原発を訪問した際、東電の関係者はThe Telegraphに対し「同施設のタンクはすでに満タンに近い。新しい貯蔵施設を建設するためのスペースが限られているため、水の処分方法を早急に決定する必要がある」と述べた。

同社は、2022年夏にタンクが限界容量に達すると予測している。 経済産業省は11月18日、政府の委員会で汚染処理水を海洋に放出することによる人間へのリスクは小さいとし、福一原発の何百ものタンクに現在貯蔵されている100万トン以上の汚染処理水を処分する方法を検討した 。

1年間に太平洋に汚染処理水を放出することは、人間が自然にさらされる放射線のわずか1600~4万分の1程度になると同省の関係者は委員会に語った。放出後に付近の年間放射線レベルは、海上で0.052〜0.620マイクロシーベルト、大気中は1.3マイクロシーベルトとなる見通しであると当局は述べている。

この数値は、人間が日常生活で毎年接触する約2,100マイクロシーベルトと比較される。汚染水の処分方法や処分時期については、最終決定に至っていないことを同省は強調した。

2011年3月の東関東大震災による地震と津波で福一原発は壊滅的損傷を受け、6原子炉の内、メルトダウンした3基を冷却するための水が放射能に汚染された。地下水も原子炉建屋の地下に浸透しており、毎日新たに120トンの水が溜まり続けている。 (telegraph.co.uk) https://www.telegraph.co.uk/news/2019/11/19/fukushima-accused-cover-up-contaminated-water-set-poured-pacific/

大量に保管している100万トンを超える汚染処理水が、適切に浄化処理された安全な水であれば、海洋に放出することは何の問題もありません。

ところが、昨年8月、汚染処理水にトリチウム以外の放射性物質が取り切れずに残っていたことが報じられています。東電は2018年8月23日の会見で、汚染処理水にヨウ素129が検出され、法律で定められた濃度限度を65回も超過していたことを明らかにしています。

ヨウ素129というのはALPS(放射性物質除去装置)で除去できるはずだった放射性物質で、そのほかにもルテニウム106、テクネチウム99などALPSで除去できるはずの放射性物質が告知濃度限度を超えていたのです。

東電は、2018年8月の公聴会で敷地内にまだ汚染処理水を保管するタンク増設の余地があることを認めています。「海洋放出ありき」で進めるのではなく、保管の可能性があればあらゆる方策を探って、放出時期を遅らせ、放出量を最小限に抑える努力が必要なのではないでしょうか。

(トリチウム水と政府は呼ぶけど実際には他の放射性物質が1年で65回も基準超過 木野龍逸記者2018年8月27日) https://news.yahoo.co.jp/byline/kinoryuichi/20180827-00094631/

トリチウムの危険性

トリチウムは水の形態で存在することから、ろ過等により除去することができません。また、ろ過・脱塩・蒸留によって水素と分離することが難しく、処理に高額のコストがかかります。

そんな事情から海洋に放出するしかないこともあり、「トリチウムから出る放射線は透過力が弱いベータ線のために人体への害は小さい」とやや乱暴な定説が流布しています。NGOグリーンピースは「トリチウムの半減期は12.3年で、リスクが無視できるレベルに低減するまでに120年以上かかる。人体に取り込まれれば遺伝子を傷つける恐れがある」と警鐘を鳴らしています。

※ALPS(放射性物質除去装置)は62種の放射性物質の除去が可能(セシウム・トリチウムの除去不可)

2 thoughts on “福一原発 汚染処理水の海洋放出を急ぐ

  1. 絶対安全との触込みで造られていった原発。
    安全神話は脆くも崩れ、こんどは冷却に要した汚染水の処理で右往左往。至る所で、相変わらずの隠蔽工作。

    一連のストーリーは、足るを知らない定めの人間たちが織り成す 笑劇 のよう。
    ほんとうに何かが狂ってる世の中だ。
    (もうとうに自分のいない)未来に希望をみることがなかなかできません。

  2. >>(もうとうに自分のいない)未来に希望をみることがなかなかできません。
    そのとおりですね。たとえばドイツは歴史を修正せずに直視し、反省したことによって欧州諸国、世界の信頼を取り戻しました。この国は責任ある地位にいた人たちが、不祥事の責任を取らないのです。近年の福一原発事故、森友・加計学園への利益誘導、関電の贈収賄、桜を見る会の政治資金規正法・公職選挙法違反等なんとなく先送って事件が雲散霧消するとでも思っているのでしょうか。若い世代にも「香港や韓国の学生のように、ここぞという時は権力に対峙する気概を持って」と言いたくなります。

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