米看護師 賃金男女格差の理由

米カリフォルニア州拠点の看護師、看護師職に関心のある人の情報サイトRegistered Nursingで、11月9日、看護師の男女間賃金格差について分析がなされました。主な内容は次のとおりです。

2019年Medscape RN/LPN Compensation Report(医師および医療専門家向けのオンライン・サイト報告書)では、2018年における米国各地の看護師の調査結果を詳細に記しています。

全体的に見て勤務看護師(月給制)は、性別に関係なくパート看護師(時給制)よりかなり高い年収を報告しており、実際にはパート看護師の男女差7.0%に比べて、勤務看護師の男女差は2.5%と小さい。

勤務看護師の賃金水準(時給換算)は、男性(時給39ドル、日本円で約4,253円)と女性(時給38ドル、日本円で約4,144円)とほぼ同様であると報告された。

パート看護師にあっては男性看護師の実際の仕事内容が、収入格差の確たる証拠かもしれません。調査回答によると、男性看護師は次のような傾向があった。

•より高い賃金の専門分野でより頻繁に働く

•賃金が高い都市部(農村部とは対照的に)で働く

•残業を増やす

•オンコール給与(自宅等に待機して、緊急時に病院に呼び出された場合に発生する報酬)が利用可能な臨床分野(病人を診察、治療の看護分野)で働く

以上の答えは「稼ぎ」という言葉の意味と同じくらい簡単なものだろうか? 男性看護婦は勤務時間が長いから収入が増えているのだろうか?

賃金上昇に影響する男女間の顕著な違いは、女性が育児に費やす休暇が男性の同僚と比べてどのくらいあるかだ。

NRSNG.comの登録看護師ジョン·ホーズ氏は、「私の経験では、男女看護師の仕事内容に違いはありません。そういえば、出産後に育児のために仕事から一歩退く女性労働者が増えました。子供がいる同僚の男性も父親休暇を取るのですが、例外なく全員が仕事に戻ってきました」と述べた。

2014年の報告書(性別による家族の健康管理に対する親の責任)によると、子供の体調が悪い時、母親は父親の10倍以上の頻度で仕事から離れている。この休暇が無給の場合、収入に特に影響が出る可能性がある。

さらに多くの女性(報告によると最大80%)が個人の健康に関わる問題のために、仕事を離れている間は報酬が支払われていない。

「改善の余地があるのは明らかです。理想的な世界では、看護師の報酬は価値と時間に基づくべきだと思います。昇給のための明確なステップを備えた臨床階層は、公に明示し厳守されるべきです」ともジョン·ホーズ氏は語っている。

看護師業務は経験、環境、および業務割り当てにおいて男女平等で同じだ。男性は昇給を要求しやすいのを除けば、賃金格差に対する明確な根拠はない。女性の看護士が、より積極的に人事テーブルで自己主張するようになれば、おそらく賃金格差は解消され始めるだろう。

(registerednursing.org) https://www.registerednursing.org/male-vs-female-nurse-salary/

米国における看護師の男女間賃金差についての記事です。女性の労働力率をグラフに描くと、結婚・出産期に当たる年代で労働力率が低下し、育児が落ち着いた頃に再び上昇するというM字カーブを描いていました。これは万国共通だったはずです。

ところが我が国において近年、M字を描かず平坦に近いグラフを描くようになっています。以下グラフからは平成7年から平成26年にかけて、M字カーブが急速に解消していることがわかります。

男女共同参画白書 平成27年版

男女共同参画局は女性全体のM字カーブが解消傾向に向かっている要因として、

①もともと労働力率が高い無配偶者の割合が上昇していること、

②配偶者がいる・いないを問わず、若い世代ほど労働力率が上昇していること

を要因としています。 少子高齢化で合計特殊出生率(女性が一生の間に生む子どもの推計人数にあたる、2018年は1.42人)が年々低下している時代にあって、出産・育児休業期間を短縮し、生涯にわたるキャリア・プランを重視し始めたことがわかります。

当記事において、賃金の男女格差の一因とされた「産前・産後、育児休暇によるキャリアの中断」は大きく解消されて、男女間賃金ギャップも徐々に埋まっていくことでしょう。

看護師の給与水準

国際労働比較データブック(*)から、看護師が属する「非農林漁業部門」の2016年における賃金を時給換算すると日本1,972円・米国2,349円です。

当記事の米国看護師の賃金が、男性4,253円、女性4,144円ですから、米国においても看護師の給与はかなり高い水準であることがわかります。

厚生労働省の賃金構造基本統計(2018年)の「パートタイマー職種別」で看護師の時間給は1,733円、准看護師が1,463円、労働の対価として賃金水準が低すぎると問題になっている保育士が1,108円です。

ちなみに2018年の千葉県最低賃金は895円(今年は28円アップの923円)でした。

*独立行政法人労働政策研究・研修機構 2018年国際労働比較データブック   

為替レートはUS$1.00=109.06円として試算、日本の賃金ベース:事業所規模5人以上の常用労働者

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