精神疾患の診断 変わる兆し?

カナダのNPO医療情報サイトのMedical News Bulletineで、10月15日、ランジャニ・サバリナタン氏が精神疾患の診断方法に変わる兆しがあることを記しました。

精神疾患の診断 変化の時

患者の病状自己申告を使用して、精神疾患がどのように診断されるかについて現在の強迫性障害の診断と比較して調べる研究

精神疾患は、個人に苦痛を引き起こす可能性のある人が考えるか、感じるか、または行動の変化によって特徴付けられる健康上の問題です。

これは、カナダで最も一般的な健康問題の1つと考えられており、ある年にカナダ人の5人に1人に影響を及ぼし、人口の約50%が40歳までに精神疾患を経験していました。

一般的な精神疾患または障害には、不安、うつ病、摂食障害、OCD(強迫性障害)が含まれます。

OCDを患う人は、強迫観念(不必要な思考や不穏な思考)あるいは衝動(不安を軽減するための反復行動)、またはその両方を経験します。

OCDおよびその他の精神疾患は、精神疾患を正確に診断するために必要な知識と経験を有する専門家である精神医療専門家によって診断されます。

精神疾患は、診断および統計マニュアル(DSM-5)で確立された特定の基準(障害に関連する徴候・症例のリスト)を満たす患者に基づいて診断されます。いくつかの研究は、確立された基準を使用して精神疾患を診断する現在の方法に懸念を強めています。

これは、多くの患者が別タイプの精神疾患に共通する症状を示すためです。 トリニティ・カレッジ・ダブリンの研究者が率いる新しい研究では、精神疾患の診断における別の方法を行っています。

JAMA Psychiatry(米国医師会の査読付き月間医学雑誌)に発表された研究では、患者が自己申告した強迫行動が、精神衛生の専門家によるOCDの診断よりも、目標指向性計画の減少と強い関連があるかどうかを調べました。

目標指向性計画とは、個人の習慣や行動を規制する能力を説明するものです。OCDを患っている人は、目標指向性が減少することがわかっています。 この研究では、2015年から2017年の間に米国からOCD(強迫性障害)、GAD(全般性不安障害)、またはその両方と診断された285人の参加者を募集しました。GADと診断された参加者は、その障害を持つ個人が強迫行動を示さないため、コントロールグループとして割り当てられました。

この研究では、メンタルヘルスの専門家が障害を診断するために参加者に電話インタビューを行いました。 参加者は、インターネットを介して認識力テストを実施し、症状の自己申告を含むオンライン評価を完了しました。

研究における彼らのパフォーマンスは、彼らの目標指向性計画、認知の柔軟性、および抽象的な推論の評価によって測定されました。

認知の柔軟性とは、人の思考や習慣を制御するのを助ける脳内の一連のプロセスを指します。結果の再現性を評価するために、フォローアップテストが実施されました。フォローアップ・セッションによって、110人の参加者からデータを収集しました。

研究の結果は、「精神衛生の専門家によってなされたOCD診断」より目標指向性計画の減少とOCD患者の強迫行動にかかる自己申告の間に強い関連性があることを明らかにしました。

精神疾患がどのように診断されるべきか、診断が脳の基礎生物学と密接に反映するかどうかについて含みがあることを調査結果が示しています。

将来の研究においては、様々なタイプの精神疾患の中で、2種類以上の精神疾患を有する人の幅広い症状を示す、より多くのサンプルを観察することが必要であると、著者は信じています。

(medicalnewsbulletin.com)

https://medicalnewsbulletin.com/how-mental-illness-is-diagnosed-time-for-a-change/  

当記事は精神疾患の診断は、従来の診断方法に全面的に頼るのではなく、患者の申告を重視すべきだと記しています。

従来の精神疾患は、診断および統計マニュアル(DSM-5)で確立された特定の基準(障害に関連する徴候・症例のリスト)に基づいて診断し、病名が決まっているのですが、確立した基準を使用する現在の方法に疑義が生じているのです。

そもそも、精神疾患を抱えている人は一つの疾病に納まるわけではありません。

たとえば強迫性障害(OCD)の患者はうつ病を併発していることが多いのです。強迫性障害、双極性障害、パニック障害、うつ病、持続性気分障害、全般性不安障害等を明確に線引きするのは無理があるということでしょう。

患者が自己報告した強迫行動が、精神衛生の専門家によるOCD(強迫性障害)の診断よりも、目標指向性計画の減少と強い関連があるかどうかを調べた結果、目標指向性計画と患者の自己申告の間に強い関連性があったのです。

その結果から、患者の自己申告による診断を兼ね、より多くの症例を観察する重要性が示されています。 強迫性障害は、以下のような精神疾患です。

強迫性障害(OCD:Obsessive Compulsive Disorder)とは、自分の意思に反して、不合理な考えやイメージが頭に繰り返し浮かんできて、それを振り払おうと同じ行動を繰り返してしまう病気です。

症状としては、抑えようとしても抑えられない強迫観念と、それによる不安を打ち消すために無意味な行為を繰り返す強迫行為があります。

東京大学医学教育国際協力研究センター 監修 北村聖教授https://ux.nu/yZujZ

当記事において、強迫性障害(OCD)の患者は「目標指向性計画」が減少することを報告しています。

誰にでも多かれ少なかれ身に覚えのある行為ですが、強迫観念が強くなればなるほど、計画に則った腰を据えた生活からは遠ざかってしまうと察します。

「目標指向性計画」とは、目標に向けて綿密な計画を事前にたて、それに従って行動する性向を示しています。

綿密な計画のもとに現在やるべきことに着手し、目標に向かって段階的に進めていきます。このタイプは予定が狂ったり、目標が変更されると融通が利きません。

目標が定まれば、しっかりと動きだすのですが目標が定まるまでは不安定な面があります。

当記事は、DSM-5(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorder)を精神疾患を診断する際の確立した基準としています。DSM-5はアメリカ精神医学会(American Psychiatric Association)が定めたもので、明確な診断基準を設けることによって「精神科医の間で精神障害の診断が異なる」という問題に対応しました。

ICDコード(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems)という国際疾病分類は、一般により使われているもので、国際的に疾病、傷害、死因の統計を収集するために世界保健機構(WHO)が発表する分類です。たとえば精神疾患による障害年金申請の際に、傷病名に必ず並記(例:強迫性障害はF42)します。

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