韓国で突出する看護師の離職率

                             (freepik.com)

韓国の非営利独立メディアであるニュースクレームで6月11日、チョ・ヒジュ記者が看護師の高い離職率を報告した。

魂まで燃やし擦り減らす看護師の離職率が、病院内の他職員より2.3倍高いという実態調査が出た。白衣の天使という職業の裏面だ。

11日保健医療労組(全国保健医療産業労働組合)が36病院に対して看護師離職率の実態を調査した結果、2018年36病院に就業中の全体看護師1万 6296人中、離職した看護師は合計2535人で離職率は15.55%であった。

これは看護師を除いた職員の離職率6.67%の2.33倍に該当する。病院職員のうち看護師の離職率が非常に高いということを裏づけた。

看護師離職率が最も高い病院は、乙支大病院で41.30%を記録した。その後を仁川愛病院37.60%、光明性愛病院30.98%、洪城医療院27.30%、円陣緑病院25.00%、江東聖心病院24.10%と続いた。

離職した看護師のうち1年目の新規看護師が942人で37.15%を占めており、2年目は430人で16.96%、3年目は315人で12.42%を占めた。

離職した看護師2535人中1~3年目の新人看護師が占める比率は66.54%で3分の2を占めた。

保健医療労組は「これ以上、付け焼き刃な処理をしてはならない」とし、「看護師の高い離職率がこれ以上、常態化しないようにするために、保健医療労組は2019年産業別中央交渉で労使政策タスクフォースを組織して解決策を用意していく」と述べた。

(newsclaim.co.kr) http://www.newsclaim.co.kr/news/articleView.html?idxno=1339

我が国の事情

公益社団法人日本看護協会の2016年調査では、正規雇用看護職員離職率(*1)は10.9%で、2010年以降、11%前後でほぼ横ばい。新卒看護職員離職率(*2)は7.6%で、2011年以降7%第後半を推移している。

この調査結果からは、韓国のように、看護師離職者の内、1~3年目新人看護師の占める比率が3分の2を占めるようなことはなさそうだ。

厚生労働省の2016年雇用動向調査における全産業の常用労働者(1か月を超える期間を定めて雇われている者)の離職率(*3)が、15.0%であることから、看護師の離職が他業種に比べて高いわけでもない。

医師、患者、先輩看護師、医療事務職等にはさまれ未熟さも加わり強いストレスに晒される新人期に、医師・先輩のサポートや同僚、患者との人間関係で励まされ離職率の増加を食い止めているのであろう。

とはいっても、病院勤務では、患者に変容はないか。医師の求めていることに応えているか。医療過誤につながるミスを起こしてはならないと、いつも神経をピリピリさせながら、長時間緊張態勢であろう。

夜勤シフトという生活リズムに係わるストレスもある。

クリニックでは医師や先輩スタッフ、逃げ場のない固定的人間関係における人との相性、オペや医療機器による専門加療の有無や専門性に係る仕事との相性もあり、離職率を職種(看護師)だけで括るのに無理がある。

規模(病床数)、職域や担当科(救急やオペ対応、検査等)、地域(首都圏都心、市街地、地元のかかりつけ医院)別の統計および対応策が求められるであろう。

医師、看護師や薬剤師等の専門職は採用が困難で、いまだに売り手市場(企業の求人数のほうが、応募者よりも多いこと)であること。

手に職・ライセンスを持つ有資格者ゆえに、たとえ辞めても次の就職がすぐに決まりやすい理由等で、離職(転職)の多い業種と思い込んでいた。今後、 離職率の高さを裏付ける資料を見つけ次第、報告する。

*1 正規雇用看護職員離職率の計算方法 調査年度の総退職者数÷調査年度の平均職員数{(年度当初の在籍職員数+年度末の在職職員数)÷2}×100

*2 新卒看護職員離職率の計算方法 調査年度の新卒退職者数÷調査年度の新卒採用者数×100

*3 常用労働者の離職率計算方法 常用労働者離職者数÷1月1日現在の常用労働者数×100

2 thoughts on “韓国で突出する看護師の離職率

  1. 「手に職・ライセンスを持つ有資格者ゆえ」
    という部分を読み、40歳の頃、海浜事務所で一夏、仕事をした経験を思いだしました。
    我々は炎天下で監視活動、浜辺の掃除など、けっこう動き回っています。
    対するは、一人いた年配、小太りの看護師さん。
    滅多には訪れない怪我人を待っていればよく、お菓子など食べながら悠々たるものでした。
    看護師さんの境遇も居場所によってさまざまのようでもあります。
    給与は我々のたしか1、5倍はあったような。

  2. 海浜事務所での年配看護師さん、余裕ですね。炎天下お疲れさんといいたいところですが、カジュアルな服装で、風通しの良い事務所内にいたのではないでしょうか。看護師と准看護師の待遇(給与・ポジション)にも差がありますね。看護師も准看護師も、できる医療行為は同じ。明確に異なるところは、准看護師は自らの判断で看護行為ができず、「医師あるいは看護師の指示によって看護行為を行う」。これら(給与・昇格・裁量のある看護行為)の差を、資格取得過程の苦労の大きさだけで、納得できますかね。

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