韓国の「与えて奪い取る基礎年金」問題

BeMinorサイトで、10月4日、ホ・ヒョンドク氏が、韓国生活保護受給者の年金申請をためらう事情を解説した。

どうせ与えて奪いとられるので・・・基礎年金の申請すらしない貧しい高齢者

2019年国政監査、65才以上基礎生活受給者(いわゆる生活保護受給者)のうち基礎年金を申請しない受給者が2017年より14.7%増加

基礎年金から生計給与(いわゆる生活扶助)削減… 与えて奪いとる基礎年金問題解決しなければ

正義党のユンソハ議員が保健福祉部から提出させた資料によれば、「与えて奪いとる基礎年金問題」のため、基礎年金をあきらめる人たちがますます増加していることが明らかになった。

2019年8月時点で、65才以上基礎生活受給者は45万 5千人だ。この中で基礎年金を受ける人たちは40万 5千人で、5万人余りは年齢・所得基準を満たしていても故意に基礎年金を受けないでいる。

基礎年金を受給しない人たちは2017年42,905人、2018年47,526人、2019年49,232人で2年前より14.7%増加した。

これは基礎年金を受ける場合、年金額と同じ程度の生計給与が控除されて事実上何の恩恵もなくて、かえって可処分所得の増加により基礎生活受給資格者から脱落する恐れがあるためだ。

最近5年間65才以上基礎生活保障受給者(わが国の生活保護受給者)のうち基礎年金を受ける受給者比率を調べると、2015年以降、持続的に減少していることが明らかになった。(中略)

既存の生計給与・医療給与受給者は基礎年金受けることができても放棄

既存の基礎生活受給者の場合、基礎年金を受けることができる年齢になっても基礎年金をあきらめる場合が多かった。

2017年から2019年上半期まで生計給与受給権者65.8% 、医療給与受給権者75.9%、生計給与と医療給与を両方受けている者は、53.2%だけが基礎年金を受けていた。

反面、同じ期間で新規受給者の場合には基礎年金受給比率が100パーセントに近かった。 生計給与受給権者93.1% 、医療給与受給権者98.0% 、生計給与と医療給与を全部受ける者97.2%を占めた。ユンソハ議員は「制度をよく知らない新規の受給者が基礎生活受給申請時に、基礎年金も同時に申し込むためだ」と語った。

与えて奪い取る基礎年金、制度改善急務

基礎年金は2018年9月に月額25万ウォン(約22,500円)に引き上げられた。

今年4月からは下位所得者の20%に対しては月額30万ウォン(約27,000円)に引き上げられた。

政府は引き上げによって、高齢者のセイフティネットがより一層強化されるとしたが基礎年金受給者154万 4千人の内、基礎生活受給者の40万 5千人は基礎年金引き上げの恩恵を全く享受できずにいる。

保健福祉部は基礎年金削減の根拠として、基礎生活保障制度(生活保護)は自身の所得・財産および他法支援によっても最低生活を維持することはできない場合にだけ補充的に支援するのを原則としている。

国民年金、労災保険給付、失業給付などを所得として算入していると明らかにしている。

だが、これに対してユンソハ議員は「国民年金は、自分が納めた保険料に基づいて支給される社会保険で、無期限の普遍的手当方式の基礎年金とは差がある」と述べた上で、障害年金年金、障害手当、障害児童手当、幼児保育料、幼稚園教育費、養育手当、国家功労者への生活調整手当、参戦功労者への参戦名誉手当、日本軍慰安婦生活安定支援金などを所得の算定対象から除外しているのに比べると、その根拠が妥当とは言えないとして制度改善が急務であることを強調した。 (beminor.com)

http://beminor.com/detail.php?number=13908

記事文中の「基礎年金」とは、韓国で2007年に可決された基礎老齢年金法による制度で、低所得高齢者のために導入されました。

年金保険料を納付して受給する国民年金制度とは異なります。

「基礎年金」とは65歳以上高齢者の所得下位者に対して一律に年金を支給するというもので、無年金高齢者の生活保障のために、全額を国庫と地方税によって賄われています。

2019年4月からは所得下位の20%(基礎生活保障受給者は20%の範囲内に含まれている)に対して、基礎年金が30万ウォン(約27,000円)に引き上げられました。ところが生活保護費である生計給与から30万ウォンを削減されてしまうため、「与えて奪い取る基礎年金問題」と騒がれているのです。

わが国の生活保護費と年金は?

わが国にも類似の構造が浮かび上がってきます。

2017年8月1日に10年年金法(公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律)が施行され、それまで25年だった年金受給資格期間が10年に短縮されました。

そのため、およそ64万人の方々が納めてきた年金保険料をどぶに捨てず(国庫に寄付することなく)に、年金を受給できるようになりました。

受給資格期間の10年は、勤め人として社会保険に加入していた期間、勤め人の妻である国民年金の3号被保険者だった期間、自営業者として国民年金保険料を支払っていた期間、所得が低く国民年金保険料を免除申請していた期間だけでなく、生活保護(生活扶助に限定)期間、障害年金受給中の期間、海外在住期間(住民票を国外に転出していること)等も含めることができます。

海外在住期間については受給資格期間の10年に含めることができますが、年金保険料を納めていた期間ではないので年金額は増えません。これらの期間をカラ期間と言います。

そのため、2019年の10年年金法施行以来、生活扶助を受給中の方で、老齢年金を受給できるようになった方も大勢いるわけです。

あいにく生活扶助を受給中の場合、受給開始した老齢年金は収入と認定されて、そのまま生活保護費からカットされます。

遡って年金を受給できるようになった場合も、(生活扶助を受給していた期間であれば)遡って支給された年金全額を市町村に返納しなくてはなりません。

※生活保護受給者が年金を受給する場合は、生活保護費総額から年金支給額を差し引いた金額を受給することになります。老齢・遺族・障害年金すべてが収入となり、生活保護費から差し引かれます。

 当記事の「基礎年金」は、自分が年金保険料を納めたわけでもなく控除やむなしとも思えますが、低所得で将来十分な収入の見込みがない方々にとっては死活問題となります。

わが国の場合は、自分が納めてきた年金保険料により受給開始となった老齢年金に相当する額も、生活保護費から差し引かれることになります。

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