
朝鮮日報のポータルサイトChosun.comのオピニオンで、8月8日、チャン・ウジョン記者が、「韓国日本経済戦争の今こそ、官民で非メモリー事業の長期的なビジョンを描き、着実に実行していく正念場にあること」を記事にした。
東日本大震災(2011年3月11日)の時、韓国国内で素材や部品の国産化を叫んだ人々はどこへ?
大震災当時、日本産ウェハー・フォトマスク・フッ化水素など半導体・ディスプレイ生産に必須の材料供給が支障をきたし、日本から半導体・ディスプレイ素材・部品・装備の50%以上を輸入していた韓国半導体・ディスプレイ業界が直撃弾を受けた。
韓国企業等はあたふたと在庫確保・供給先の多角化を推進した。政府は韓国がいわゆる鵜(首にひもが巻かれた水鳥)の経済と嘆き、素材・部品・装備の国産化が切実だと叫んだ。
魚(完成品)を食べたくても、ボトルネックとして日本の部品産業があり、身動きできる幅が狭いのであった。
2011年3月、東日本大震災で全世界の供給網が機能不全になった時の話だ。
当時、自然災害で日本企業等の素材、部品生産が支障をきたし、全世界の供給網が連鎖打撃を受けた。
尻に火がついたサムスン電子、SKハイニックスなどはすべての力を投じ、在庫を確保して供給先の多角化に出た。
おかげで降って沸いたような問題は3~6ヶ月ぶりに解決した。
不安が解消するにしたがって、国産化を叫んでいた政府も2013年から予算規模を毎年減らし始めた。
産業部所管の半導体分野研究開発(R&D)事業支援予算を見れば、2012年1010億ウォン程(日本円にして約87億64百万円)を投じた予算は2017年末314億ウォン台の3分の1に減じた。
サムスン電子やSKハイニックスが大きな利益を出しながら、共生生態系の構築や人材の育成にあえてお金を使う必要がないという趣旨であった。
実際この時期は二つの会社が異例の「半導体スーパー好況」で最高売上を毎年更新した時だ。
反面、半導体装備の国産化率は2013年の21%から2017年に18%に後退したし、半導体素材国産化率も2011年以後48%台で横ばいであった。
8月7日ソウル、良才洞(ヤンジェドン)で韓国科学技術団体総連合会・韓国工学翰林院・韓国科学技術翰林院が共同開催した「日本の半導体・ディスプレイ素材輸出規制に対する科学技術系対応方案緊急討論会」でパク・ジェグン韓国半導体ディスプレイ技術学会長は、東日本大震災が起きて6ヶ月が過ぎたら国産化の話がぐっと後退したとしながら、その時準備していたならばどれほど良かっただろうか、半導体を35年間研究した学者として今回も同じようなミスが繰り返されないか心配であると語った。
そんな兆しは、政府が年初に騒々しく推進した非メモリー半導体(システムLSIに代表される半導体で、スマートフォンなどの記憶媒体に使うメモリー半導体の倍以上の市場規模が見込まれる)の生産支援にも現れている。
当時サムスン電子が非メモリー事業でもグローバル首位を目指すとして2030年まで133兆ウォンを投資すると明らかにした。
政府も毎年1兆ウォンを投資するとして協力体制を敷いた。ここには自らの投資金額の他にも前方・後方の生態系を一緒に育成する内容も含まれている。
しかし最近会ったある中小半導体業界関係者は、非メモリー事業育成を担当した政府関係者たちが日本輸出規制対応にしがみついているため、関連支援議論がすべて中断していることを語った。
非メモリー事業育成もまた、10年~20年前から政府が強い意思を持って議論してきた事案だ。業界では今回も曖昧になる可能性があると憂慮している。
米・中貿易紛争、韓国・日本経済戦争など最近全世界が保護貿易主義に流れて各自で生き残り戦略を取る兆しを見せている。
日本の輸出規制がある程度、突破口を開く時点がきたとしても、いつどこでも第2、第3の輸出規制が出現しうるということだ。
今回だけは、必ず大きなビジョンを描いて、長期的に投資してこそ「日本輸出規制の時、国産化をしていたら」といった後悔がよぎることはないだろう。(biz.chosun.com) http://biz.chosun.com/site/data/html_dir/2019/08/08/2019080801888.html
いまはなき野坂昭如はしきりといっていた。
「農産物の自給率を上げないと、さもなくばいざ戦争になったらいちどう飢え死にだ」
といった旨のこと。
いまの世、たしかに、工業製品の部材もたいした重要性を有するのです。
それなけりゃあ、生産の息の根を止められ、(現在の生活レベルの)生活の息の根も止められてしまうーーのか?!
自由貿易、国際社会 進み、むしろ各国ですべてを揃えておかなくては不安でしょうがないーーのか?!
そういえば、半導体は産業の米と言われていましたが、主食のコメと違って盛衰が激しいですね。 日立製作所と三菱電機の半導体部門を分社化統合(2003年)、エルピーダメモリ倒産(2012年)、東芝が昨年半導体メモリ事業を売却と斜陽化してしまいました。農産物には盛衰もなく、自給率がほんとうに大切なのではないでしょうか。